《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
今説明を求められても
ややこしくなるだけだから、
あたしは二人を強引に振り
切って駐車場を飛び出した。



(ゴメンね、
お父さん、お母さん……)



心の中で謝りながら、
駅までの短い距離を進む。



私鉄の小さな駅だから、
出入口もひとつしかない。



あたしの視界にそこが
見えてきた時には、先生は
もうちゃんとその風景の
中にいた。


あのキャメルのコート
だったから、すぐにわかる。



「先生―――…」



遠めから声をかけると、
先生がスッとこっちを向く。


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