《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「――如月? その恰好は……」



挨拶よりもまず、そう聞かれた。

あたしが礼服代わりの
制服姿だからだ。



「すみません、先生。
わざわざ来てもらって。

――全部、歩きながら話します」



そうしてあたしは、先生と
並んで来た道を引き返し
ながら、ようやく少しずつ
真実を明かし始める。



「今日は……お墓参りなんです。

死んだお姉ちゃんの、
5回目の命日で」



「君の……お姉さん?

それじゃ、その人が―――」



「――はい。あの楽譜を、
あたしに残してくれた人。

あの楽譜は最近見つかった、
お姉ちゃんの忘れ形見です」


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