《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「…………っ!」



とっさに、あたしは走り
出してた。



逃げるなんてよけいずるい
ってわかってたけど、でも、
久住先生に説明する勇気は
とてもなくて。



バタバタと足音をたてて
走る背後で、キーッと
ドアが開く音。


それに、よく通る声が続いた。



「待って、君―――」



「…………っ」



その声に、さらに鼓動が跳ねる。



でも、立ち止まることは
できない。



あたしは声を振り切って、
一目散に階段を駆け降りた――。





     * * *


_
< 35 / 440 >

この作品をシェア

pagetop