《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「忘れ形見………」



先生はあたしの言葉をその
まま繰り返し、黙り込んで
しまった。



不安になって隣を見ると、
何だかすごく思いつめた
顔で地面を見つめてる。



「……先生? 
怒ってるんですか?

こんな、騙すみたいな
やり方したから」



恐る恐る尋ねると、先生は
ハッと我に返って、



「あぁ、ゴメン。

……いや、別に怒ってるん
じゃないよ。すまない。

そうじゃないけど……驚いて」



(………驚き? あの張り
詰めた顔は、なんかそれ
だけじゃないような気が
したけど……)


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