《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
なんとなくそう思えたけど、
先生がそう言うならあたしの
気のせいだったのかもしれない。



そう考えて、あたしは
説明を続けた。



「あたしの音は、5年前の
今日、途切れました。

お姉ちゃんの死に、あたし
達一家は囚われてしまって。

あたしも、ピアノをやめて
しまった……」



「……そうか。

それが君が言っていた、
“抜け出せない過去”なんだね」



「はい。

お姉ちゃんはあたしの
目標みたいな人だったし、
お母さんは特にお姉ちゃんを
溺愛してたから。

あたしが何をしても、
お姉ちゃんには追いつけ
ないのに、思い出させるだけ。

そう思ったら、もう、
弾くのが怖くて……」


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