《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
唐突に、丸めた肩に誰かの
温かい手が触れる。



弾けるように振り返ると――
そこにいたのは、将輝だった。



「どうしたんだよ花琳、
こんなとこで。

今日は――…」



そこまで言って、ハッと
息をのむ将輝。


……あたしが泣いてる
ことに気づいたんだろう。



「……オイ、マジでどうした?

何があったんだ!?」



「な……にも、ない、よ……」



言えるわけがない。



力無く振り切って、フラ
フラと歩き出そうとした
けれど――

予想どおり、将輝はまた
引き留めてきた。


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