《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「…………は?」



将輝がロコツに顔を歪めて
怪訝な表情になる。



でも、あたしは構わず
言葉を続けた。


もうなかば、自暴自棄に
なりかけてた。



「もういいの。

もう……弾けない。

あの“カノン”も、完成
なんてさせられないかも……」



あたしにはやっぱり、あの
楽譜を手にする資格なんて
なかったのかもしれない。


何だか、そんな気すらしてきた。



「な……に、言ってんだ……?」



将輝が低い唸りのような
声をあげる。



そして次の瞬間、指が食い
込むほどの強さで、ガシッと
両肩を掴まれた。


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