《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
全身の力を振り絞って、
ありったけの大声で叫ぶ。



さすがの将輝もそれには
ピタリと動きを止め、手の
力も緩んだ。



「な……ん、だって……?」



あたしは将輝の手を振り
ほどいて、ヤケ気味に続ける。



「それだけじゃない。

先生は今でも、お姉ちゃんの
ことが好きなの。

先生、何年も前からずっと
忘れられない人がいるって
言ってた。

それが……お姉ちゃん
だったんだよ……」



「久住が――穂乃花さんを……」



低い宙を睨んで、呆然と
呟く将輝。


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