《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「……わかったでしょ?

そんな先生と……一緒に
演奏なんて、できるわけ
ないじゃない……!」



今度こそもう、その場に
将輝をおいて駆け出して
しまおうかと思った。



でも、絞り出すような
将輝の震える声が、それを
思いとどまらせる。



「……ンだよ、それ。

だからもう、花琳は全部
やめちまうってのか?

ピアノも、久住と一緒に
いるのも。

――全部もう、どーでも
いいってのかよ――!?」



「な…………?」



思わずドキリとした。



……こんなにも切なげな
将輝の顔を見るのは、
初めてだったから。


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