《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
――あの音のひとつひとつが、
全て、先生の心。
いつも、慈しみと優しさに
溢れる、天使が奏でてるの
かと思えるほど、温かな
メロディーだった。
あの音を奏でながら――
先生は、何を思ってたんだろう。
先生が時々どうしても
ピアノを弾きたくなるのは、
なぜだったんだろう。
「先生―――会いたいよ――…」
あたしはまだ、先生の
ことを何も知らない。
先生の過去も、今、心に
背負っているものも。
何も知らずに、あたしは
先生にたくさんのかけがえの
ないものを貰った。
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