《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
(曲が、ハッキリと
イメージとして見えるよ。

そして次にどんな音を
紡げばいいか、体が知ってる。

あたしの中から――音が、
溢れてくる――…)




生まれて初めての感覚。



その感覚に全霊を注いで、
あたしはとうとう最後の
音を奏でた。



余韻が響く部屋の中で……

あたし自身も途中からは
何も考えられなくなって、
恍惚としていた。



しばらくするとドッと
押し寄せてきた疲れに、
思わず椅子にもたれ込み
そうになった時――…。





―――パチ、パチ、パチと。




小さな拍手が、唐突に
静寂を破る。


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