《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「先生とお姉ちゃんに
届けって願いながら、
弾いたんです――」



「……あぁ、そうだね」



さっきも“届いた”と
言ってくれたように、
先生は頷いて優しく
微笑んでくれた。



その態度に、霊園での取り
乱した様子はもうない。


いつもより少し元気は
ないけれど、落ち着きを
取り戻してる。



「………先生。

話してくれますか?

先生と、お姉ちゃんのこと――」



そっと問いかけると、
先生はチラリとあたしを見た。



そして唇だけでかすかに
笑うと、窓の外に視線を
戻し、ゆっくりと話し始める。


_
< 397 / 440 >

この作品をシェア

pagetop