《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
あたしが先生のピアノに
あれほど惹かれたのも、
もしかしたらそのため
だったのかもしれない。



「……そうだね。でも――…」



先生はそう言うと、
窓ガラスから手を離し
あたしに向き直った。



そして深く一度息をついて、
申し訳なさそうにこう言う。



「……正直、君に穂乃花を
重ねていたよ。

ピアノが好きで、当時の
穂乃花と同じ年頃で。

それに苗字が一緒だった
から、重ねて見ずには
いれなかった。

でも――穂乃花は、
一人っ子だって言ってたんだ。

だからまさか君が彼女の
妹だなんて、思いも
よらなかった……」


_
< 406 / 440 >

この作品をシェア

pagetop