《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「苦悩………?」



先生がスッと眉を細めて
聞き返す。



「はい。

事故のことだけじゃなくて……
もっと、そのずっと前から。

あたし達家族がもっと
わかってあげてたら、
お姉ちゃんは何もかも
自分の中に閉じ込めないで
よかったかもしれない。

……救えなかったのは
先生だけじゃないです。

あたし達も、同じです……」



過ぎた時間を後悔しても、
もう今さらどうにも
ならないけど。



それでもやっぱり、深い
悲しみと後悔が胸の中
一杯に広がる。


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