《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
冬晴れの陽光が差し込む
音楽室で、あたし達は再び
同じ人を想い、静かに泣いた。



そうしてどれくらいかも
わからない、長い時間が
過ぎた頃――…。



「………ありがとう、如月」



なんの前触れもなく、突然
久住先生が静かにそう告げる。



「………ありがとう?

どうしてですか?」



指先で涙をぬぐいながら
言うと、先生は言葉を探す
ように少し間をおいてから、



「――オレに、真実を
教えてくれたこと」



と言った。


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