《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「――最初にも言ったけど。

だからオレは、ここへ来たんだ。

君が奏でる“君の心”が、
届いたから」



そう言うと先生は、静かに
一歩を踏み出した。

まっすぐ、あたしの方へ。



「先生……?」



ドキリとして首をかしげる
あたしに、先生は少しだけ
恥ずかしそうにフワリと微笑む。



そしてもう一歩前に進むと、
もう彼はあたしのすぐ傍に
立っていた。



先生は初めて会った時と
変わらない、穏やかで
優しさに満ちた瞳で
あたしを見下ろして、


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