《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「大丈夫。

顔を合わす機会なんて
無いんだから――…」



自分で自分にそう言い
聞かせて、あたしは目を閉じた。



それだけでさらにリアルに
よみがえってくる、体を
満たす豊かな音。



たおやかなメロディーの
中で、あたしの体には
本当に優しい月光が降り
注ぎ、全身を包んでる……。


あたしは月夜にフワリと
浮いて、漂うように光り
輝く音に身を浸してる――…。



まるで夢を見ているかの
ような、そんな錯覚が
あたしを満たしてる。


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