《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「あんな演奏が……あたし
にもできたら……」



無意識に――
本当に無意識のうちに、
言葉が口をついて出てた。



だけど次の瞬間、あたしは
自分自身でその言葉に驚き、
ハッと身を強張らせる。



(何言ってるの、あたしは……)



たしなめるように、胸の
内でそう呟いた。



(できるわけないのに。

……そんなのあたしには
ムリだって、自分が一番
よくわかってるはずでしょ……)




――あたしはもう、
ピアノは弾けない。



昔のようには。


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