《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
#3 小さな秘密
     * * *



それから数日が過ぎた。



あたしは相変わらず奈緒が
一緒ならすぐ帰るけど、
彼女がバイトで一人の時は、
しばらく暇を潰してから
帰るようにしてる。



だけどあれ以来、校舎に
遅くまで残ってても、
もう久住先生のピアノが
聞こえてくることはなかった。



どういう理由で何のために
弾いてたのかも、もちろん
サッパリわからないままで――


だけどあたしは日が
たつにつれ、少しずつ
“いつまでも気にしてても
仕方ない”
って思うようになってた。


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