《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
先生は何事もなかった
ように隣の加藤さんに
目線を移すと、



「二人とも、こっちへおいで」



「はい!」



加藤さんの大きな返事で、
あたしはようやく時間が
動き出したのを認識する。



先生はいたって普通の
態度で隣の部屋に続く
ドアを開け、あたし達に
先に入るよう促してた。



(気づかれ……なかった……?)



懸命に速い鼓動を抑え
ながら、そっと先生を見る。



だけど先生はもうあたしの
視線に反応することもなく、
穏やかな表情であたし達
二人を見てた。


あたしだけを気にする
ようなそぶりは、全くない。


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