《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
(……バレてない――…)



その思いがぐんと強く
なって、あたしは少しだけ
肩の力を抜く。



(そうだよね。

ドア越しだもん、きっと
顔なんて見えちゃ
いなかったんだ……)



あたしの取り越し苦労
だったんだ。

気づかれなくて……
本当に、よかった。




――その後あたし達は、
隣の準備室で額を見せて
もらい、貸し出してもらう
サイズや数を決めた。



そうしてそれを二人で半分
ずつ持って、美術部を後にする。



先生との相談は加藤さんが
してたから、あたしは直接
先生と言葉を交わすことも
なかった。


_
< 69 / 440 >

この作品をシェア

pagetop