《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
そのままの体勢で呆然と
その名を口にする。



久住先生は小さく微笑んで、



「額の数は足りたかな?」



……あたしはすぐには
答えられなかった。



ただ驚きと動揺が胸の中を
渦巻いてて、言葉がうまく
出てこない。



「……まだ足りなかった?」



久住先生がちょっと心配
そうに眉をひそめたのを
見て、あたしはようやく
ブンブンと首を横に振る。



「あ、いえ、大丈夫です。

写真部にも、借りたので……」



自分でも恥ずかしくなる
ほど、上擦った変な声だった。


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