《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「……如月 花琳です」



「如月さんか。

ほんの10分程度だから。

……この間のことで、
ちょっとお願いが、ね」



「…………!」



薄々予感はしてたけど――
先生のその一言で、それが
確信に変わる。



(気づいてた―――…)



さっきは、そんなそぶり
少しも見せなかったのに。



わかってたんだ。


あたしがあの日、盗み見を
してた生徒だってこと――…。



「な……ん、ですか……?」



あたしはぎこちない声を漏らす。



諦めておろした指先は、
かすかに震えてすらいた。


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