《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
その秘密を、先生とあたし
だけで、共有する―――。



「そ、んなの………」



…………困るよ。



心の中ではそう思ってる
はずなのに、なぜかすんなりと
言葉にはできない。



先生に逆らうのが怖いとか、
怒られるんじゃないかと
不安だとか、そんなのじゃない。



そうじゃないのに……
拒絶の言葉を紡ぐのが、
どうしてかためらわれて。



「……………っ」



口ごもるあたしに、先生は
怪訝な目で首をかしげた。



それでもあたしが何も
言わないでいると、やがて
先生は小さく息をついて、


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