《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
「教師なのに何言ってるん
だって呆れてるかな。

まぁ、それがもっともだ。

だから本当はこんなの
頼めたことじゃないって、
わかってるけど――」



そこで一度、言葉を切る。



そして――フッと笑みを
掻き消して真剣な表情に
なると、あたしから目を
そらすように窓の方向に
目をやって、



「たまに、無性にピアノの
音色が聴きたくて仕方なく
なる時があるんだよ。

それでつい我慢しきれずに、
音楽堂に忍び込んで
しまうんだ――…」



「無性に――ピアノが
聴きたくて――…」


_
< 86 / 440 >

この作品をシェア

pagetop