《完》天上のCANON 〜先生と奏でる、永遠のメロディ〜
――そう、もう一人の
あたしが心の奥で問いかけてる。



だけどその一秒後には、
あたしの口から言葉が
解き放たれてた。



張り詰めたかすかに震える
声で――あたしは先生に
向かって、こう言ってたんだ。



「久住先生が弾いてる
ことに気づいたら――…

あたしもまた、聴きに
行ってもいいですか――?」



「如月さん―――」



今度こそ、真ん丸に
見開かれる先生の瞳。



時間が止まったかのような
沈黙が訪れた。


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