姉×弟~ちょっと待って!~
「俺の母さんはどこ。」
え?...今の声、輝?
初めて聞いた。輝のこんなに低い声。一瞬誰なのかわからなかった。
輝の真剣な目は真っ直ぐお母さんを見つめていた。
だけど、さすがお母さん。そんなことは気にもとめず、美味しそうに食べ続ける。
「輝のお母さんは私よ。産みの親は知らないわ。死んだ夫の元カノなんて知るわけないじゃない。」
ちょっと冷たすぎない?いくらなんでもそんな言い方...。輝がかわいそう...。
「あ、愛の本当のお父さんも知らないから。今、何処で、何をしているかなんて興味ないから。」
ねぇ...お母さん、わかってる?自分が何を言ってるか。どれだけ私たちを傷つけてるか...。
「でもね。これだけはわかってほしいの。」
お母さんはスプーンを置き、私と輝の手を握った。