【完】貴方が居たから。
不思議な男
結局、私が折れた。
財布にお金を戻し、こちらに向き直った彼と目が合う。
「用があるんちゃうの?」
「ありますけど…」
“私だけじゃ意味がない”…
その一言は言えない。
てか、言わない。
無関係な人だし、ここで2時間は待つしかない。
「落とし物でもしたん?」
…どちらかと言えば、拾い物。
何て、ここに兄貴が居たらキレそうだ。
「別に…」
目を逸らし、花壇に腰を掛ける。
向日葵の種が植えられてるらしく、夏が来てると教えてくれる。
「…望月さん?」
「はい…;;」
俯いてた私の前に、今は会いたくない人が現れた。