【完】貴方が居たから。
兄貴がよくお世話になってる、榊原ーサカキバラー刑事さん。

苦笑しながら見れば、「憂音君なら取調中だよ」と言われた。

…あーあ。

知られたくなかったのに、あっさりと言われてしまった。



「引き取りに来たんですが、帰れますか?」



なのに高瀬紀斗は、驚く事なく、“引き取りに”なんて言ってる。



「はい。もう少ししたら連れて来ますね」



2人で話を進めてるし…。

私は「いつもすいません」と、榊原さんに頭を下げた。



「望月さんが謝る事はないんだよ。憂音君、早く足洗うと良いね」



「……」



頷けなかった。

何も言えなかった。

更正しても、私は兄貴を受け入れる自信はない。
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