【完】貴方が居たから。
「私が小2の時、姉は小5。毎年
ここへ来てた。その年に私たちはカヌーに乗るようになってて、ママが見守る中、乗ってた。
でもね、姉が引き潮に巻き込まれて転覆したの。私と弟は、すぐに泳いで助けに行った。…子供に助けられるわけないのに」



波音が胸の痛みを強くさせる。

同情ではなく、話がスッと胸に入って来た。



「私さ…ここに来たのそれ以来!
このメンバーだから、来れるんじゃないかって、思ったの」



私は唇を噛んだ。

涙が溢れそうだ。



「大丈夫。姉は優しかったから、守ってくれるよ。ケチだったら、ちゃんと叱るから!
だから泣かないのっ」



小春が私の手を強く握る。

私は握り返しながら頷いた。
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