【完】貴方が居たから。
この状況が怖い。

こんな小春、知らない…。



「小春、しっかりしろ!しっかりするんだ!」



「うんー?私は普通だよー!」



…違う。

全く違う。

数分で、人を変えるなんて、薬は恐ろしい。

私は梢と互いの腕にしがみ付き、小春から目を逸らした。



「梢ちゃん、憂愛。部屋に入ってな」



兄貴に背中を押されながら、窓からリビングに入る。

カーテンと窓を閉められ、外との世界は遮断された。



「憂愛…」



「うん…」



どこに居ても、恐怖はきえない。

隣に、彼がいないから。
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