【完】貴方が居たから。
「ん。ここにおんで。憂愛が落ち着くまで」



ベッドが二つあって、別々に寝る筈だったのに、一つのベッドに2人でいる。

誰もいない。

何もない―…。

私たちしかいないんだ。



「紀斗さん…」



「ん?」



「呼んでみた…」



貴方だって、実感する為に。

この温もりを、しっかりと感じる為に。



「憂愛の目の前に居るのは俺や。
大丈夫やから」



疑いじゃない。

心が叫ぶんだ。

…紀斗さん…。

紀斗さん、と。




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