【完】貴方が居たから。
「帰んでー」



タクシーを停め、私たちを呼ぶ。

素直に従う兄貴だが、私はどうしたら良いかわからない。



「憂愛っ!!」



彼が私を呼ぶ為、仕方なしにタクシーに乗る。

助手席に座る高瀬紀斗は、兄貴に住所を言わせる。

…コーヒーでも出すか。

安い安いお礼をして、さよならすれば良い。

不思議な人だけど、お礼は別。

人として、当たり前だしね。

タクシー料金をまた払ってくれる彼に、私たち兄妹は頭を下げた。



「ええか?もう警察沙汰になる事すんなや?」



「は、はいっ!;;」



彼はそれだけを言って、去ろうとする。
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