【完】貴方が居たから。
顔も覚えてない、人たちの事を。

営業マンで、合コンが好きな人たちとか、たくさん。

高瀬紀斗は今日、数合わせで呼ばれたみたい。



「俺、法務部で、あの中の1人が大学の後輩やなかったら、憂愛とは出会わへんかったやろうな」



「いつからこっちに?」



「大学の入学と同時に、大阪から出て来た。未だに関西弁が抜けへんくてな」



「そうだったんですか」



人と関わるのは面倒で嫌い。

なのに、聞き入れてしまう身の上話。

聞きたいと思わせる。

こんな感情は、初めてだった。

彼を前に、心が素直になろうとしてる。

夜空を見上げると、涙が溢れそうになった。
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