【完】貴方が居たから。
落ち着いた私を、今度こそイタリアンレストランに連れて来てくれた。
「席で待ってて」と、白い紙袋を持ち、ウェイターさんとどこかに行ってしまう。
私はメニューを見ながら、数分をやり過ごす。
「そうやそうや、兄貴はどうしてるん?」
戻って来て、一言目が兄貴の事。
何故、急に兄貴の話なんだろう。
「病院に居る筈です。
母親が入院してるんで、今日だけ付き添うみたいです」
「へぇ」
また“へぇ”だよ。
自分から聞いといて、会話をすぐ終わらせないで欲しい。
私から話すのは苦手だし。