【完】貴方が居たから。
必要以上に思うんだ。



「憂愛」



「え?」



「顔がまた寂しそうやで」



自分では見えない表情。

戻そうにも、どうすれば。

どうして、どんな、顔をしてるのか、わからないんだから。



「ま、今日の帰りに笑顔が見れたらえぇけどな」



「面白かったら、私だって笑いますよ」



「本当かよ!」



小春が雨の日に廊下で滑りかけた時。

兄貴が階段から落ちた日とか。



「―――案外、小悪魔なんやな」



「全然」



小悪魔なわけがない。

性格がキツかったり、恋愛に対してテクニカルでもないし。

性格は…多少はキツいかも知れないけど。
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