【完】貴方が居たから。
「憂愛の気持ちはわからんでもないで。俺も仕事しか考えられへん時期もあったしな。
せやけど…恋人に救われた事やってあった。恋をする前から、否定的なのはあかんで」



「……」



真っ向から叱られ、私から視線を逸らした。

「帰ろう」と、私の返事も聞かないまま、車は再び走り出す。

車内はシーンとし、会話もない。

彼は窓を全開で煙草を吸ってる。

胸が痛い――…。

申し訳なさが、心を支配してる。



「ゆっくり寝ろな」



家の前に停まれば、それだけで、別れた。

もう会えないかも知れないのに。




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