【完】貴方が居たから。
恋に落ちた瞬間。
聴こえない
倉庫の前に立ち続け、どれ位が過ぎただろう。
私の前にニヤリとした笑みで立ってるのは、数回だけ警察の前で会った事がある人。
兄貴と度々、捕まってるらしい村岡昌宏ームラオカマサヒロー君。
確か、まだ高校3年生の18歳。
「来てたなら早く入らないとダメじゃん」
「…私、関係ないから」
鉄扉の隙間から見えたのは、ロープで縛られ、袋叩き状態の兄貴。
…関係ない…。
関係ない、筈なのに。
体が中へと吸い込まれて行く。
卑怯で最低なヤツら。
だから、世間から嫌われるんだ。
「私を呼んだの誰ですか?」
用件なしに呼ばれてたら、兄貴と帰る。