【完】貴方が居たから。
「…わかった。何とか連れて帰って来るよ。竜哉兄、いつもごめん」



電話を切り、頭を抱える。

…“何とか”って、どうすんの?

自分で言っててわからない。

いっそのこと、迎えに行くの止める?

祖父母は嫌がるし、頼れる人、居ないんだけど。



「はぁ…っ」



とりあえず、スクールバックだけを取りに戻る事にした。

観葉植物の陰から出て、席に行けば、みんな盛り上がり中だ。

高瀬紀斗は1人、ワインを呑みながら、煙草を吸ってるけど。



「梢、ごめん。行かなきゃいけない場所あるから帰る」



「え…何、言ってんの?」



…“帰る”だけど。
< 7 / 200 >

この作品をシェア

pagetop