【完】貴方が居たから。
「父は、私の母親と離婚した後に貴方たちのお母さんと再婚した。借金は…私の母親に慰謝料を払う為だったの…。
貴方の名前を聞いてイラッとしたのは、高瀬先輩と親しそうだったって私情」



「……」



もう、返す言葉なんてなかった。

呆れるしかなかった。



「姉妹で同じ男性に惚れるなんてあるのね…。でも、私は諦めない。父親を貴方は奪ったんですから」



宣戦布告なんだろうか。

父親を奪ったとは何。

聞き捨てならなかったけど、私は灰田さんから視線を逸らした。

…“奪う”。

私の隣に居る筈の、紀斗さんがいなくなる?
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