【完】貴方が居たから。
「さっきから黙って聞いてたら何様なの!?」



「止めときなよ、小春…」



取り乱した小春を止める梢。

しかし小春は止まらない。



「貴方1人の言動で、融資を辞めるのは簡単ですよ?」



「え…?」



「父がお世話になっつます。
東雲銀行頭取の娘、東雲小春と申します」



小春は白い歯を見せながら笑った。

私と梢は切り札を初っぱなから出した小春を見て苦笑するしかない。

事実を初めて知った紀斗さんと倉木さんはあんぐり顔。

それもそうだ。

今や世界的に有名な、東雲銀行の令嬢が、彼女の友達だなんて思わない。
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