【完】貴方が居たから。
「浩子ーヒロコー、もう帰りなさい。
お父さんは大丈夫だから」



「はい…」



灰田さんは父親とその場を去って行く。

オーナーさんが周りの席の方々に頭を下げてくれ、また賑やかな雰囲気を取り戻した。



「憂愛のお姉さんだか知らないけど、似てないね」



梢が倉木さんにビールを注ぎながらポツリと言う。

似てるなんて最悪な事だ。

私は手にしてた鞄を床に置き、梢から瓶を受け取り、紀斗さんにビールを注いだ。



「車で話そうや」



「うん…」



2人きりで話したい。

そんな私の気持ちを、察してくれてたのだろうか。



< 78 / 200 >

この作品をシェア

pagetop