【完】貴方が居たから。



「いやー。まさか取引先で顔パスなんて感激だよ」



会社に到着。

灰田さんが私たちを見て見ぬフリをした為、勝手に入って来てしまった。

社員の人たちに訊きながら、倉木さんの部署のある階へと向かう。

梢は小春の背後にくっついてキョロキョロしてる。

そんななら、来なければ良かったのに。



「どちら様でしょうか?」



フロアに着くと、女性の社員さんに止められた。

まぁ、場違いだってわかるよね。



「東雲銀行の東雲小春と申します。今日は倉木椎都さんとお会いしたいんですが」



ただの面会に、“東雲銀行”と言って良いのだろうか。

本当、怖いものなし。
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