【完】貴方が居たから。
「ごめんなさい…」



私は深く頭を下げた。

倉木さんは「謝らないでよ」と、首を左右に振った。



「俺が捨てなきゃいけない変なプライドを抱えてるから悪いんだ」



自分をわかってる、自覚してる、ちゃんとした人。

そんな人に私は…。

謝っても謝り切れない。



「諏訪はまだまだ知り合って1年なのに、大きく出たな。きっと、紀斗にキレられてるだろうな。
あいつ、俺と憂愛ちゃんの双方の気持ちをわかってるから。だから、口出ししなかったんだよ」



私は倉木さんとようやく視線をしっかりと合わせた。

優しく微笑んでくれて、少し胸が軽くなる。
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