学園レモネード

ジャージをぬいでTシャツの格好になり、ボールを取り出す。

「ボール、持ってるんだね。」

「帰り寄ろうと思ってたから。」


いつも教室の窓から見ているボールのつき方。
いつも教室の窓から聞こえるバスケットシューズの音。

5年目の想いが一気に溢れてきて目頭があつくなる。

「柳野さん。」

「は、はいっ。」

一気に我にかえった。

「何かみたいの、ある?」

それって…私が頼んだらやってくれるってこと?
おそれ多くて出来ないよ。

でも。えっと…えっと。

「あ…じゃあ、シュート入れて下さい…。」

「それって逆に難しいじゃん。」

笑う篠崎くん。
だって見てるだけで充分だったもん。

「まあ入れるから。」

何回かつくと、その場でボールを投げた。


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