学園レモネード

影もだいぶのびてきて、ふと時計台をみると5時すぎだった。

「もうこんな時間…。」

楽しい時間は過ぎるのが早い。
まだ一緒にいたいけど、コンビニの寄り道にしたら遅いって、お母さんに心配されるから…。


「ほんとだ。こんな時間まで付き合わせちゃってごめんな。」

「そんなことないよ。久しぶりにできて、すごく楽しかった。」

バスケはやっぱり楽しいな。

あれ……そういえば。
何だっけ、聞かなきゃいけないこと…。

あっ!!

「篠崎くん、よかったらアドレス教えてほしいんだけど………いい?」

「もちろん。でも…携帯って今もってる?」

あっ。アイス代だけ持っていったから、今手ぶらなんだ。

馬鹿な私……。

「あはは…。ありませんでした。」

「なら、家まで送るついでに携帯持ってくるってのはどう?」

「お、送ってくれるの?いいよ、悪いから。」

「俺から誘ったんだから、送らせてよ。」

「なら…お願いします。」


部屋着のワンピースの中で、一番お気に入りなのを着たのが唯一の救い…。

並んで公園を出ながら、ふとそう思った。

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