新聞部部員AとBの事情。
入り口で騒いでいる奴らをかいくぐって淀野がドカッと利郎の隣に腰掛ける。トリィ、俺も茶、冷たいヤツよろしく。
利郎は熱々の玄米茶を淀野に差し出した。
「淀野、知ってたか?」
「何を」
利郎は柚木のいわゆる“恋する瞳”を顎で指しながら「アレ」と答える。
「あぁアレね。」
「知ってたんだ?」
「トリィ関心無いもんにはホント頓着しねぇからな。」
見りゃあわかんだろうよ、と頭をワシャワシャ掻きながらどうでも良いものを見るように柚木に視線を送る。整った顔が台無しだ。
「まぁなんであえて部長?ってのはあるけど。」
部長の女子からの不人気度は毎年不動の堂々一位。
ただでさえ影から“変態部”と賞されているのに、それの親玉に恋に落ちる存在がいたとは。
「まぁ見る目があるっちゃあるし、ないっちゃないよなぁ。」
なんせ今の部長の趣味は崇城の縄跳び縛り上げ。
この前はグラウンドにこっそり白線で巨大おっぱいを描き、
水泳部が屋内プールを使っているのを良いことに屋外プールで金魚を飼ってみたり、
「ろくな事してねぇしな。」
「淀野達もな。」