新聞部部員AとBの事情。
「見ろ!」
巨人男がめいいっぱい指指す方向を半場反射的に目で追う。
どうにかして降りようと必死だったみくは周りの景色など一切見ていなかった。
それを今後悔する。
吹きさらしの廊下からグッと広い校庭が広がり、
散りかけた桜並木が光に透けて、
それに続く空の上に
「飛行機雲だな、チビ!!」
びっくりするぐらいの青空とそれを引き裂くように真っ直ぐ伸びる一本の飛行機雲。
今まで体験したことのない190センチの世界。
「俺は真っ直ぐなもんが大好きだ。」
みくが魅了されたのは
すべてが違って見えるこの世界なのか。
真横にある男のニカッと笑った横顔にか。
多分、両方。