新聞部部員AとBの事情。
その言葉に水島利郎(みずしまとしろう)のシャーペンの動きが一瞬止まった。
「…えっと、それってうちの部長に?」
本当あの部長に?
「はい!」
もちろんです!と、いわゆる小動物のような大きな瞳をキラキラさせながら柚木みく(ゆずきみく)は机に乗り出した。
振動で少し字が歪む。
消しゴムを取り出しつつ利郎は記録ノートに視線を落としたまま続ける。
「なんでまた。」
“○月×日 晴れ”
「だってスーパーヒーローみたいだったんですよ!」
“本日の活動者”
「まぁ体格はそうだけど。」
“水島 柚木”
「顔はほら、どちらかというと悪人ヅラじゃない。」
“活動内容”
「心は正義です!」
“世間話”
「あ、間違えた。」
再度消しゴムを握り、質感も内容もぺらっぺらなノートを軽く擦る。
“活動内容”
“記事のレイアウト”