新聞部部員AとBの事情。
部下C
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「柚木、ちょっと付き合ってくれる?」
みくは思わず箸を落としそうになった。
自分の机に手をついて首を傾げているのは紛れもなく水島先輩だったから。
いつものごとく、無表情なのか、ほのかに微笑んでいるのか、ただぼんやりしているのか分からない不思議な表情をしながら、辺りにアンニュイさを醸し出している。
しかし何故にこんな所に出没しているのか…。
「はいはい。みく、呆けてないで。ほら、箸しまう。」
テキパキとミカがみくから箸を奪い、弁当をしまっていく。
「ふふ、みくちゃん口に玉子焼き付いてるままだよ。」
さゆはニコニコしながらみくの口をハンカチで拭く。
「ほら、みく。しっかり返事する。すみません先輩。」
「いや、ありがとう。あ、柚木、弁当も持っておいで。」
周りの好奇な視線を一心に浴びながら、みくは引きずられるように教室を後にした。